企業型確定拠出年金の続きです。
国民年金と厚生年金、後は想定される年金パターンを
◇年金パターン
今は「国民年金だけで貧困生活しているご老人」の特集を見たりしますが、
数十年後はざっくり以下の様なパターンが出てきます(もっと沢山ありますが・・・)
・国民年金
・厚生年金
年金の名の付く保険商品等もありますが、主な物は上記でしょうか。
国民年金は月5.5万、厚生年金(基礎年金含む)は月14.5万が平均値らしいです。
厚生年金だけだと、少し厳しい水準ですね(持ち家を除く)。
ただ、確定拠出年金やNISA等が加われば、多少は事情が変わってきます。
NISAは1800万が上限額になっています。
これを長期で運用し、2~3倍程度の上昇を見込めるのであれば、
ある程度は年金の補強が出来る筈です(国民年金のみだったとしても)
確定拠出年金は20~60歳を対象に個人型・企業型で色々と条件があり、
10月に変更された現在の上限額設定は以下の通りです。
・国民年金の場合
月6.8万迄(年81.6万)
・厚生年金(会社員)の場合
月2.3万迄(年27.6万)・・・企業型DCやDB(起業年金)を未導入の人
月2.0万迄(年24万)・・・企業型DC5.5万利用の人
月1.2万迄(年14.4万)・・・DB導入の人(企業型DC2.75万利用者も含む)
※尚、2つ目と3つ目は一律月2.0万上限に統一される様です(2024年12月)
確定拠出年金を仮に30年加入した場合、国民年金ベースの人なら2400万以上、
厚生年金の人で700~2000万(+企業年金)という規模になります。
◇懸念
今後数十年で、物価上昇や年金給付額減少が進み、
厚生年金だけでは生活困難になっていく懸念がありそうに思います。
月20万弱がギリギリの質素な暮らしなっている感じだったり、
もう少し悪化して、生活費が月25~30万程度必要になっているかもしれません。
(夫婦なら2-3割増が必要な生活費になる)
65歳定年、年金支給68歳スタート、65歳時点の生活費300万/年(インフレ率2%)で、
資産を3%運用していると仮定して計算した場合、
国民年金のみは当然として、更生年金でもかなり厳しいです。
軽く試算した限り、80代中盤~後半ぐらいまで資金が尽きない様にする場合、
・国民年金(平均額)なら、65歳時点で別途資産5000万が必要
・厚生年金(平均額)なら、65歳時点で別途資産3600万が必要
という感じです。
自力で積み立てるだけだと大きい金額なので、
運用も組み合わせるのが現実的でしょう。
利回りと資産増加期間は以下の通りです。
資産が2倍になるペースは、利回り7%で10年、5%で14年、3%で23年
資産が3倍になるペースは、利回り7%で16年、5%で22年、3%で37年
資産が4倍になるペースは、利回り7%で20年、5%で28年、3%で46年
これをもとに考えてみます。
◇国民年金(平均額)で65歳時点で5000万を準備する場合
国民年金のみだと、65歳時点で5000万の資金を準備するのは大変です。
NISA上限の1800万を準備し、運用で3倍まで増やしてやっと5400万ですから。
・利回り3%の場合
1700万を28歳時点で準備して3倍にするか、
2500万を42歳時点で準備して2倍にする必要がある。
・利回り5%の場合
1700万を43歳時点で準備して3倍にするか、
2500万を51歳時点で準備して2倍にする必要がある。
・利回り7%の場合
1700万を49歳時点で準備して3倍にするか、
2500万を55歳時点で準備して2倍にする必要がある。
利回り3%のケースは、28歳で資金準備のケースはかなり非現実的です。
42歳2500万準備ンケースは、年150~200万入金出来る人なら、という感じでしょう。
利回り5%のケースなら、年100~150万入金出来る人。
利回り7%ケースなら、年50~100万入金出来る人で、超えられるハードルでしょうか。
準備資金の1700万は、NISAの限度枠とほぼ同額です。
それで3倍まで増やしてもギリギリというのひゃ、結構厳しいものがありますね。
上述の通り、国民年金の場合は、iDecoは年80万程度出来ますので、
そちらも併用すれば、3000万以上を積み立てる事も可能ではあります。
(そんなに積み立てる方は、非常に稀だと思われますが)
国民年金加入者でお金に余裕があり、老後に備える場合は、
国民年金基金や付加年金という選択肢もあります(というかそっちの方がメジャー?)
自営業で節税を求めるなら、所得税や住民税の節税効果が大きい点から、
iDecoや国民年金基金の方がNISAより優先されそうな気はします。
逆にいつ余裕が無くなるか分からないなら、NISAで運用の方が無難でしょう。
早期リタイアで節税効果が薄いなら、NISAや付加年金の選択肢になりますかね。
◇厚生年金(平均額)で65歳時点で3600万を準備する場合
65歳時点で3600万を準備する場合、国民年金よりは楽(現実的)です。
・利回り3%の場合
1200万を28歳時点で準備して3倍にするか、
1800万を42歳時点で準備して2倍にする必要がある。
・利回り5%の場合
1200万を43歳時点で準備して3倍にするか、
1800万を51歳時点で準備して2倍にする必要がある。
・利回り7%の場合
1200万を49歳時点で準備して3倍にするか、
1800万を55歳時点で準備して2倍にする必要がある。
28歳で1200万は、実家住まい等でないと少し厳しいかもしれませんが、
それ以外は40代・50代ですから、そこまで難しくないと思われます。
また、準備資金は多くても「NISAの限度枠」と同額なので、
厚生年金対象の人は、NISAのみでも対応可能ではないでしょうか。
◇所見
上記は国民年金や厚生年金の平均受給額での試算です。
国民年金でも満額貰える人、国民年金だが付加年金・年金基金も貰える人、
厚生年金でも数万~20万以上貰える人や、企業年金が別途相応に貰える人、
共働き夫婦で合計40万以上貰える人、等様々です。
年金が多めなら、老後対策の準備資金も少なくて済むと思われます。
ただ、年金だけで潤沢な給付を得られるのは、共働き夫婦か、
潤沢な企業年金や退職金を設定している一部の大企業社員ぐらいでしょうか。
定年まで働いていても、独身だったり、年金が少ない人(独身・夫婦問わず)は、
何かしら準備が必要になるケースが多いと思います。
それが、2000万問題として話題にあがった訳ですし。
数十年後の日本は、より厳しくなっている筈です。
NISAやiDecoを最大限活用した人は快適な老後を過ごせるかもしれませんが、
一切活用して来なかった人は、老後もギリギリまで働きながら節約生活を過ごす、
そんな光景が一般化してしまっていても、不思議ではありません。
私の様に早期リタイア志望の人間は、iDecoはあまり相性が良くありません。
早期リタイア想定なら、NISAに注力するのが正解だと思います。
(別にiDecoをやっても害は特にないですけどね。
60歳まで資金ロックされますが、投資でBuy&Holdしているのと変わりませんし)
一方で、普通に定年近辺まで働く人であれば、
所得税・住民税の節税が出来るiDecoを優先して利用しつつ、
余力があればNISAに投入する、ぐらいで良いかもしれません。
何れにしろ、NISAもiDecoも早くから始める事が肝要です。
楽に投資出来る投信が充実し、節税制度も各種取り組み易い形で揃っており、
物価上昇のデメリットはあったとしても、私は今の若い人達が非常に羨ましいです。